データから紐解く!富裕層ってどこにいるの?
公開日:2023年5月23日更新日:2023年6月06日 データから紐解く!富裕層ってどこにいるの?
富裕層の定義は明確に定まっていませんが、野村総合研究所の調査では「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」の世帯を「富裕層」とし、さらにその上位のピラミッドの頂点に位置する「超富裕層」は「純金融資産保有額5億円以上」となります。
しかし、日本を含め世界中に富裕層・超富裕層は存在しますが、全世帯の割合ではほんのひと握りのため、非常にリーチしにくい層でもあります。
富裕層を探す時、「年収」・「資産」・「職業」・「役職」などさまざまな方法が挙げられますが、今回は「エリア」に特化した富裕層探しをしてみましょう。
富裕層はどこに住んでいるの?(都道府県編)
まずは、総世帯の家計資産総額を都道府県別にみてみましょう。
総務省による「2019年全国会計構造調査」の結果によると、 東京都が4701.0万円と最も多く,次いで神奈川県,愛知県,埼玉県,奈良県などとなっている一方,北海道が1431.6万円と最も少ない結果です。
出典:総務省「2019年全国会計構造調査」
しかし、総世帯のうち世帯主が「65歳以上の世帯の金融資産残高」のみに絞った場合の都道府県別結果をみると,結果は変化し、神奈川県が2428.4万円と最も多く,次いで奈良県,愛知県,東京都,兵庫県などとなっている一方、沖縄県が833.1万円と最も少ない結果となります。
出典:総務省「2019年全国会計構造調査」
つまり、エリアごとの富裕層を探したい場合でも、年齢などのセグメントを加えることで結果は大幅に変わってしまうことがわかります。
さらに、上記の結果は「家計総資産」の結果となるため、前述した「富裕層(純金融資産保有額1億円以上5億円未満)」や「超富裕層(純金融資産保有額5億円以上)」の定義に沿って絞った結果ではなく、「富裕層のみに特化した情報」ではありません。
富裕層や超富裕層の数は、野村総合研究所の「2021年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」の推計結果によると、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額が5億円以上」の「超富裕層」は全体の0.16%で9.0万世帯、1億円以上5億円未満の「富裕層」は2.5%で139.5万世帯となり、日本の全世帯の3%にも満たないことがわかります。
しかも、それら金融関連情報はクローズドな情報であるため、富裕層や超富裕層に容易にリーチすることが困難であるとおわかりになるかと思います。
よって、世帯年収セグメントや年齢セグメントを駆使し掛け合わせることで、できる限り、ターゲットとしている富裕層がいるであろうエリアを炙り出すことが重要です。
富裕層はどこに住んでいるの?(東京都編)
では、一番富裕層が住んでいる割合が高い「東京」の中で、さらにエリアを絞り込んでみましょう。
以下の図は、東京都内の中で、区ごとの総世帯数に対しての「世帯の年間年収が1,500万円以上」の世帯数とその割合を示したものです。
※補足
世帯数:1500万円以上の世帯年収の世帯数
割合:総世帯数に対して1500万円以上の世帯年収の世帯数の割合
出典:総務省「平成30年住宅・土地調査統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」
上記の結果の通り、単純な世帯数でいえば富裕層が住んでいる世帯数は世田谷区が圧倒的に多いことがわかります。
ですが、「世帯数」ではなく、「割合」で考えた場合、全世帯数35,220世帯に対して、世帯年収1,500万円以上の世帯数が5,030世帯となり割合が14.3%となる「千代田区」が富裕層の世帯割合が高くなります。
ここで、富裕層をターゲットとした「折込広告」を活用したプロモーションを例に挙げましょう。
同じ折込広告を行う場合でも、区内のどこに富裕層が存在するかまでは把握できないため、世田谷区内の富裕層に100%リーチするためには、世田谷区の総世帯数468,600世帯分にチラシを折り込まなければなりません。
しかし、千代田区の富裕層に100%リーチしたい場合は、千代田区の総世帯数である35,220世帯分のチラシが必要となり、世田谷区のチラシ折込コストよりも約10分の1以下のコストで100%リーチが可能です。
上記の場合、区内の富裕層に100%リーチする場合のコストは減少できますが、富裕層の人数は世田谷区の25,740世帯に比べ、千代田区は5,030世帯となるため、リーチ人数は減少いたします。
つまり、富裕層をターゲットにしエリアで探す場合には、「検索軸」によって大幅にリーチ人数やコストが異なってくるため、狙っているターゲットに対しての正しい設定にも注意が必要です。
富裕層に多い職業
富裕層にリーチする際に良く活用されるセグメントが「職業」です。ここでは、日本の富裕層の職業についてみていきましょう。
市場調査会社「ランドスケイプ」の調査結果によると、日本の富裕層の大半は「企業オーナー」、「医師」、「地主」の3職種が大半を占めていると言われています。
1位:企業オーナー 約57%
2位:医師 約16%
3位:地主 約12%
それぞれを詳しく見ていきましょう。
企業のオーナー
「企業のオーナー」の中でも、調査機関「Wealth-X」によると、超富裕層になりやすい業界のオーナーは、以下のとおりといわれています。
1位:金融業
2位:サービス業
3位:非営利組織
4位:不動産業
5位:ヘルスケア業
6位:IT分野
7位:製造業
8位:エンターテインメント
9位:建築業
10位:食品サービス業
出典元:https://www.businessinsider.jp/post-213525
医者
富裕層に多い職業として2番目とされる医師ですが、厚生労働省の「医療経済実態調査」 (医療機関等調査、2021年実施) によると、開業医の平均年収は約2,807万円、勤務医の平均年収は約1,491万円で約1300万円の差があるため、医師の中でも主に「開業医 (歯科医師を含む)」 のことを指しています。
同省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」 (2020年) によると、全国の医師は33万9,623人となり、このうち病院の開設者または法人の代表者 (開業医) が5,142人で、診療所の開設者または法人の代表者 (開業医)が7万2,586人、つまり、全国の医師の約23%にあたる約7.8万人が開業医となります.
同様に歯科医師の開業医は約5.9万人となり、全国の歯科医師は10万7,443人ですから、2人に1人の歯科医師が開業医となります。
地主
「地主」は、資産のほとんどが、先代から引き継いだ「土地(不動産)」となり、
現預金や有価証券はそれほど持っておらず、質素で堅実な生活をしている方が少なくありません。
更地をアパートやマンション、貸し駐車場などの「賃貸経営」で土地を活用し、不労所得を得ており、傾向として年齢は比較的高く60〜80代であり、総資産が「10億円以上」の方もいらっしゃいます。
出典元:https://toyokeizai.net/articles/-/141582
世界の超富裕層の割合は?
ここまでは日本の富裕層がどこにいるのかについて見てきましたが、世界の超富裕層はどこにいるのでしょうか。
1位:北米
2位:アジア
3位:ヨーロッパ
4位:中南米
5位:中東
6位:アフリカ
出典:https://worldwealthreport.com/key-highlights.html
アメリカの調査会社「Wealth-X」による世界の富裕層に関する最新の調査結果によると、500万〜3,000万ドル(約5億3,000万〜31億円)の資産を持つ「富裕層」は世界で266万8,240人、3,000万ドルを超える資産を持つ「超富裕層」は29万1,470人となり、「富裕層」の数が最も多いのは北米で104万人、続くアジアが72万人、ヨーロッパ67万人でした。
2012〜17年にかけて超富裕層が増えた割合は、アジア(37%増)、北米(31%増)、欧州(10%増)と、すでにアジアが北米を追い抜いており、アジア地域の超富裕層人口は3.6万人のうち約3分の1を日本が占め、中国、香港、インドネシア、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピンという順位になっていることからも、日本でも富裕層が増加傾向にあることがわかります。
まとめ
今回は、日本や世界の富裕層がどこにいるのかをみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
「富裕層」というジャンルは、どこにいるのかという情報だけでリーチするには困難なターゲットであり、まずは、年齢・性別・年収・住まい・職場・職業などのターゲットとなる富裕層の具体的なペルソナをしっかりと設定することが重要となります。
ターゲットとなるペルソナをしっかりと設定した上で、エリアやその他セグメントをかけ合わせていくことで、より理想とする富裕層にたどり着くことができるでしょう。
新卒入社以来、営業職として20年以上従事、いまだ現役で現場をこよなく愛す。総合広告ほか、過去には求人広告・観光広告・インバウンド広告も経験。現在は自社メディア「ビズスタ」の副編集長・編集担当を兼任。